小学校 道徳教科書の学校図書 かがやけみらい(小学校)の教材、「めざまし時計」の内容です。

小学校 道徳教科書

学校図書 かがやけみらい

めざまし時計

内容項目 主として自分自身に関すること
節度、節制
学図3年活動_ページ_01
1.本教材について ▼主人公の女の子リカは,進級祝いに買ってもらった目覚まし時計をきっかけに,起きる時間や寝る時間,勉強の時間などの「わたしのきまり」を決め,守ろうと努力していた。が,だんだん守れなくなり,とうとうある日,寝不足から朝会の時に気分が悪くなって保健室で休むことになってしまった。という話です。

▼早寝早起きをし,自分のことは自分でやり,親や先生の言うことをよく聞いて,勉強もちゃんとやることができる子はとても「いい子」です。でも,それは親や先生にとっての「いい子」になろうとがんばっている子どもの姿ではないでしょうか。「規則正しい生活をしよう」だとか「よく考えて節度ある生活をしよう」などの徳目は,一見「そうできたほうがいいよね」「そうするべきだよね」と思えるような内容だけれど,全ての子どもたちに,“そうするのがいい子なんだよ”“みんなそうするべきなんだよ”と「道徳教育」として強制することによって,そうできない子どもたちを追い詰めていきます。いろいろな個性をもった子どもたちがいるし,いろいろな生活状況におかれている子どもたちがいる中で,「早寝早起きをすることがよいことなのだから,みんなそうしよう」という1つの価値観を押し付けることは,子どもたちのそれぞれの個性や生活背景を否定することになりかねません。

▼「わたしのきまり」が,「わたし」がよりよく生きる(“よりよく”の中には,より楽しく生きたい,ということも含まれると思うのですが)ためのものではなく,親や先生や世間が言う「いい子」になるためのものであるから,リカは「きまり」を守ろうと努力することが、しんどい生活に自分を追い込んでいくことになってしまい,そのことに「わたし」は気づいていないので,守れなくなっていく自分に腹が立ち,自己否定するのだろうと思います。
2.本教材を扱う際に、特に注意すべきだと考えたこと ▼別冊の発問に,「自分で決めた『きまり』をつづけていることはありますか」とありますが,「きまり」を自分で決めたことなのだから,と無理をしながらかたくなに守り続けることで,生活がよりよいものになっていくとは思えません。「きまり」は,自分の生活をよりよいもの,より豊かなものにしていくためにあるべきだ,と考えてほしいと思います。毎日の生活には,「やりたいこと」ばかりではなく,「やるべきこと」がたくさんあるのが現実です。「きまり」は,自分の「やりたいこと」と「やるべきこと」のバランスを考えながら,人から見てどうこうではなくて,自分が「これでいいのだ」と思えることが大事なのではないでしょうか。
©2018 人権を大切にする道徳教育研究会
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