小学校 道徳教科書の日本文教出版  いきるちから(小学校)の教材、「手品師」の内容です。

小学校 道徳教科書

日本文教出版  いきるちから

手品師

内容項目 主として自分自身に関すること
正直、誠実
4年生(日本文教出版)
1.本教材を扱う際に、特に注意すべきだと考えたこと (1)内容項目に焦点化しない
①今日は『誠実』について学習しよう。」とはやらない。
 道徳の授業では、その時間に取り扱う内容項目が決まっており、そこに焦点化することが求められる。導入時に「今日は『誠実』について学習するよ。誠実って何だろう」といった展開で行われる授業も増えているようだ。研修に行くと、そうしたモデルが示されることもある。しかしながら、そうした授業展開は、焦点化できる一方で、教師が考えるところの‘‘良い価値”へと子どもの思考を誘導してしまうという側面もある。できればそういう展開はしたくない、と考えている。

②「誠実」について、教科書編集者の意図を超えた解釈の輻をもたせたい。
 今回使用するのは、「自分の夢実現のチャンスをよりも、男の子との約束を守ること」を選んだ手品師の行為が「誠実」である、という価値観で書かれた物語を、その意図通りに教科書編集者が掲載している、「手品師」という資料である。しかしながら、本当に自分の夢を投げ出してまで約束を守ることが誠実な行為なのか、というと、私には疑問がわく。「自分の思いは我慢して相手との約束を優先することこそが『誠実』」という教師の意図を付度し、自分が本当に思っていないのにもかかわらず「手品師は立派だ。自分もそんな人間になりたい」などと、子どもたちには表現させたくはないのだ。真剣に「誠実とは何か」を考えた結果として、「ぼくなら夢を選ぶ。そして、なんとかして後日少年に謝る。それこそが誠実な態度ではないか」と考えるなら、それもすばらしいと認められるような授業にしたい。教師の考える「誠実jという価値を押し付けるのではなく、「誠実」とは何かについて共に考えていく時間を志向して…。
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